本学会が目指すところ

                       理事長 河村茂雄(早稲田大学教授)

 國分康孝先生の「教育カウンセラーにもリサーチができるようになってほしい」という願いから、日本教育カウンセラー協会から特化して発足したのが日本教育カウンセリング学会です。したがって、本学会はプラクティショナー・サイエンティストを標榜する学会で、3500名あまりの教育実践者や研究者が、教育現場の問題を解決するべく、互いに教育実践・研究の成果を共有しあっています。
 「リサーチが実践を支える」と言われます。その意味は、実践者が実践についてリサーチをすることで、実践の目標、方法を決定する根拠を得ることができ、かつ、実践の評価をすることで、より効果的な実践の方法の発見につながり、実践の向上につながるということです。具体的には、実践者がリサーチに親しむことで、次のような力量が身につくと考えます。①現状を整理して問題提起ができる、②問題を課題化し、実践の中で変容を検討できる、③新たなリサーチ結果を活用して実践ができる。このようなプロセスが、さらに実践の力量も向上させていき、真の実践者に近づいていくと考えます。また、リサーチの力をつけることで、徐々に自分の実践を論文としてまとめることができます。
 集団体験を重視し、その手法を取り入れた教育実践を展開する中で、児童生徒の発達課題の促進を図ることが大事であることを、広く教育現場に訴え、普及していきたいと考えます。具体的には、授業や諸々の活動の中に位置づけることが第一歩になり、その背景には学校経営や学級経営の中に明確に位置づけて展開することが求められると思います。
日本教育カウンセラー協会は研修を担当し、日本教育カウンセリング学会はリサーチを担当するという役割分担があり、両者が補完し合って、それぞれの機能をより充実させることが可能となり、カウンセリング心理学を主たるフレームとするプラクティショナー・サイエンティストとしての実践家を育成することができます。
 我々は、教育カウンセリングを教育現場により普及させ、日本の教育の向上に寄与したいと考えています。教育現場は変化が続き、ますます難しい問題が山積してくると考えます。その中で、プラクティショナー・サイエンティストたらんとする志を持つ多くの方に、協会のみならず学会にも参加していただき、ともに切磋琢磨していけたら素晴らしいと思います。
 ○教育相談や生徒指導、進路指導のガイダンス領域に関心のある方、
 ○授業研究や学習支援に関心のある方
 ○特別活動や部活動に関心のある方
 ○学級集団や保健室経営、学校組織に関心のある方
 ○特別支援教育に関心のある方
 等々、広く参加を求めていきたいと思います。

 リサーチに親しむ第一歩を、学会活動を通して踏み出しましょう!

                       (2015年「入会のご案内」から)