第9回研究発表大会(北海商科大学)報告

 第9回大会は、北海商科大学・共済ホールを会場に、8月10日・  11日の両日、全国から300名余の会員が集い、大成功に大会を終えることができました。
 特に、一般公開した記念講演・鼎談は、会場が満席に近い600名 ほどのメンバーが触れ合うことができました。
 大会に参加された方々、運営に寄与された皆様方に心より御礼申し上げます。
                  
     大会準備委員長 大友秀人(北海商科大学教授、博士〈心理学〉)

  

第9回研究発表大会報告

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第9回大会は、北海商科大学・共済ホールを会場に、8月10日・11日の両日、全国から624名の参加者が集い、大成功に大会を終えることができました。
 今大会は、大友秀人(北海商科大学教授)大会準備委員長以下、北海道支部大会実行委員の方々の周到な計画と準備のもとに進められ、大会当日の運営も素晴らしく今後の大会運営に資するところ大なるものがありました。準備・運営に寄与された北海道支部の皆様方に心より御礼申し上げます。

 以下、大会の概略について報告します。詳細については「第9回大会論文集」(本部注文定価2000円)、または「各部会の大会要旨報告(本部保管)」を参照してください

第1日目(8月10日) 

◆自主シンポジウム(10:00~12:00)}
 
 開会式に先立ち自主シンポジウムが開催された。北海道支部の熱心な協力参加もあり、過去最大数の9部会のシンポが行われた。提案・質疑応答・意見交換だけでなく模擬授業やワークショップを導入する部会もあり、瞬時に2時間は経過してしまった。以下、各部会のテーマと話題提供者氏名のみを紹介する。

〇第1部会「教育カウンセリングを生かすガイダンスカウンセラー~ガイダンスカリキュラムを中核とした成長促進型生徒指導の担い手~」
 企画・司会 :八並光俊、シンポジスト:新井邦二郎、八並光俊、深美隆司、清水井一、進行 :東 則孝

〇第2部会「学習発達・学力向上を支えるガイダンスカウンセラー~学校臨床心理士(スクールカウンセラー)との異同~
 企 画:片野智治、話題提供:吉田隆江、池場 望、原田友毛子)

〇第3部会「対話のある授業づくりを支える教育カウンセリング」
 企 画 :水上和夫、シンポジスト:島田昌美、荒谷豊明、水上和夫、模擬授業担当(授業者):島田昌美、コーディネーター・司会:岡田 ''弘

〇第4部会「児童生徒のメンタルヘルスと人間関係づくり」

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企画・コーディネーター・司会:吉田ゆかり、進行:武田美知子、提言・コメンテーター :富家直明、シンポジスト:渡辺千鶴、珍田洋子、中村眞理子、

〇第5部会
「支部活動を軸とした自発的(自分の現場・地域)活動のあり方」
 企 画:真鍋孝徳、司会・進行 :古川 碧、指定討論者:加勇田修士、シンポジスト:菊池大朗、山崎守、北河剛治、上田明美、

〇第6部会
「クラスにおけるQ-U結果の共有とその活用-STEP的アプローチ- 」
 企 画:松﨑学、コーディネーター:松﨑学・佐藤節子、司会・進行 :佐藤節子、話題提供 :松﨑 学、鈴木英子、折笠国康、指定討論者:古城和敬、柴山謙二

〇第7部会
「教育カウンセリングの知見や手法を用いた幼児・保護者・保育支援を考えるPartⅡ」
 企画者 :鈴木裕子、シンポジスト:小笠原美知子、佐藤泰子、寺澤久子、司会進行:丸山陽子、アドバイザー:冨田久枝、

〇第8部会
「体育・スポーツと教育カウンセリング」
 企画・司会 :土屋裕睦、コーディネーター:土屋裕睦、話題提

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供:三島利紀、吉田聡美、土屋裕睦、指定討論者 :簑内豊、

〇第9部会
「うつ・復職支援(リワーク)プログラムの取り組みについて」

 企 画:大友秀人、コーディネーター:諸冨祥彦、司会・進行:井関渉、シンポジスト:山田秀世、小林美穂子、森沢勇

◆開会式(13:00~13:20)
大友大会実行委員長挨拶

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                          國分学会理事長挨拶

◆記念講演(13;20~14;30)
演 題:「これからの教育を語る~人生の課題にどう向き合うか」

講 師:國分康孝Ph.D.(日本教育カウンセリング学会理事長)

 
 戦後の教育は、個性と自己決定尊重の美名のもとに、快楽原則に偏向したと國分先生は指摘。教育カウンセリングでは、「人生の事実の甘受」、「状況・出来事の受け止め方」、「ふれあいのある生き方」など現実原則、あるいは、超自我の導入を提唱。筋道を通し、気骨に溢れた講演に、地域・一般市民を含む634名の参加者はすっかり酔いしれた。

◆鼎談・シェアリング(14;45~15;00)
テーマ:「これからの教育カウンセリングを語る」

鼎談者:諸富 祥彦、吉田 隆江、大友 秀人

 
 炉端の談話風にテーマに斬り込むのがねらいの自己開示3人組のプログラム。
 話題になったキーワードは、「心意気」、「婚活」、「ソーシャルスキル」、「サポートグループ」、「教師のメンタルヘルス」、「“聴く”と“話す”の一体化」、「暇そうに見えるスキル」、「脱同一化」、「アイソレーションが人を駄目にする」、「キャリア教育」、『異性との人間関係育成プログラム』、「正義の怒り肯定論」、「モラルスキルトレーニング」、「道徳教育」など
 談論風発の雰囲気を介して、教育カウンセリングの今後のリサーチトピックスの提唱という面で多大な意義があった。
國分先生コメント)  

◆情報交換会(18;00~20:00 キリンビール園新館アーバン店)

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ビアホールを貸し切ってのバーベキュウ、仔羊をメインに北海道の山海の珍味に舌鼓を打ちながらのビールの乾杯は、1年間の労苦を流すのに十分。全員着座式だけに、160人の参加者の交流は深まり、明日への意気は高揚。最後は北海道支部への感謝と全員合唱で会はお開きとなった。

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第2日目(8月11日)

 (個人発表の部)
 口頭発表は、9分科会に別れ、計41本、53名の方が、事例研究は、7分科会に別れ、計20名の方が発表されました。

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 ほとんどの分科会は、リュチアルに始まり、発表を挟み、全体シェアリングで終わるというのも本学会の特色と言えよう。

 シェアリングの一部を紹介しましょう。「今後の実践への示唆が得られた」、「情動に加えて学習技能の視点から関わることの大切さ」、「ふれあいにより、人は変容・成長することを実感」、「教師は授業が命。カウンセリング技法を取り入れ授業を活性化したい」などなどの声が寄せられました。
 以下、発表題目と発表者氏名を列記します。

◆ 個人発表Ⅰ―口頭発表 (9;30~11;30)
〇第1分科会〈 Q-U 〉 座長 松崎 学
 1-1「教師の協働が生んだ効果的な児童支援-Q-Uを用いた児童理解の実践から見えたこと- 中村順子、1-2 「満足型学級集団の質の違いに関する探索的研究Ⅳ-自主性尺度因子における比較検討と学級機能因子の影響-」松崎学、1-3 「Q-Uを活用した学級経営」古原祥子、1-4「 学級崩壊を改善するための取り組み-Q-U・SGE・SSTを有効的に活用して-」井桁明美

〇第2分科会〈 授 業 〉 座長 水上 和夫

 2-1「授業に継続的に組み入れる教育カウンセリング ―川柳による自己表現と他者理解-」當麻晴仁、2-2 「授業に生かすカウンセリングに関する研究(6)-ポスト(2ヶ月経過)アンケートによる授業づくりワークショップの有効性の検証-」水上和夫、2-3「 国語科授業における発言のあり方と学習意欲向上の試み -SGEの原理を生かして-」眞里谷博子、2-4「他者との交流を目指した総合的な学習」齋藤みどり、2-5「コミュニケーション力を高める授業の工夫」荒谷豊明

〇第3分科会〈 いじめ・不登校 〉 座長 明里春美

 3-1「 生を考える性教育」藤原幸子、3-2 「安心感を与える適応教室(不登校生徒)のあり方」明里春美、3-3「高等学校におけるいじめ指導の実践」杉山雅宏、3-4「二度の不登校に陥った小学女児に対する絵画・物語作成による支援(1)-紙芝居の作成を通した感情表出-」稲垣応顕・松井理納、3-5 「二度の不登校に陥った小学女児に対する絵画・物語作成による支援(2)-空想画の制作を通した感情の整理に着目して-」松井理納・稲垣応顕、

〇第4分科会〈 教育カウンセリング研修 〉座長 山口豊一

 4-1「 地域教職員の教育相談力向上に向け~すぐ使える学校カウンセリング研修の実践報告~」島田博子、4-2 中学校におけるチーム援助の実態と教員のチーム援助志向性及びバーンアウトとの関係-チーム援助の実態を中心として-」山口豊一・山本麻衣子、4-3「 教育カウンセリング学習会の効果」齊藤智恵子、4-4「 教育カウンセリングへの期待と実践~『宗谷教育カウンセリングを学ぶ会』報告~」 古川碧 、4-5「 職場の生徒指導研修会にカウンセリングを取り入れる~『子どもたちの落ち着いた学校生活を目指して』生徒指導実践のまとめ~」石松宣彦

〇第5分科会〈学習・ティーチング〉座長 苅間澤 勇人

 5-1「 学習技能について(2)」林潔、5-2「 マイクロティーチングは、対話のある授業を促進したか」河野義章、5-3 「トランプ『ババ抜き』によって交流分析『心理ゲーム』の利得を教える工夫」和泉光則、5-4 「自己肯定感の低い学生のピアノグループレッスンにおける個人指導と集団指導の一考察」上田明美・真鍋孝徳、

〇第6分科会〈 特別支援 〉座長 川端 久詩

 6-1 「特別支援学級における『発表する力』を高める授業-友だちの俳句を鑑賞する活動を通して-」 五戸とし子、6-2「 特別支援教育.ユニバーサルデザインの授業で行う楽しい学校づくり その1『学びにくさ」に悩む子どものためのスクリーニングテスト作成と活用について』」川端久詩、6-3 「特別支援学校における自立活動でのSGEの実践」土生仁子、6-4「 特別支援教育が学校経営の中心~管理職がかわれば学校がかわる~」植木則子、

〇「第7分科会〈 SGE 〉座長 片野智治

 7-1「エクササイズから学生の関係性の育ちを把握するための着眼点」栗原ひとみ、7-2「 SGE体験過程の研究その4-イラショナルビリーフとの関連-」片野智治・國分康孝・國分久子、7-3「 SGE参加者の感想分析-自由記述データおよび評定データを用いて-」水野邦夫、7-4「 授業にSGEの手法を取り入れた効果
-ユニバーサルデザインの授業実現のために-」高島英公子''

〇第8分科会〈 学級経営 〉 座長 原田友毛子

 8-1「学級経営の中のカウンセリング-児童集団の中へ-」澁谷哲宏、8-2「 学級経営に活かす人型シール(Person-Shaped sticker)-ポジティブな他者発見行動『あなたのいいところ』と人型シールおよびQ-Uとの関連-」原田友毛子・住沢佳子、8-3「学級経営に活かす人型シール(Person-Shaped sticker)-小学生への導入の試み-」住沢佳子・原田友毛子、8-4 「『情報モラル』育成を目指したアサーション技法を用いた授業の試みⅡ-振り返りシートの自由記述による分析に着目して-」出井智子・犬塚文雄・福本徹、8-5「 全校集会生徒指導部長講話を助けるDVD教材(服装指導編)~構成的グループエンカウンター(SGE)の3本柱を日常実践で実現する~」真鍋孝徳・大友秀人

〇第9分科会〈 キャリア教育 〉 座長 明里康弘

 9-1「ビジネス系専門学校での実践③-いじめ・不登校経験・発達障害のあるキャリア支援について-」嶋田清美、9-2 「構成的グループエンカウンターが個別面談へ及ぼす効果」明里康弘、9-3 「大学におけるキャリア教育の社会学的アプローチについて」遠藤雅子
9-4 「教員等に対するキャリア教育啓発の必要性について」渡部昌平、9-5「コミュニケーションを力にする
~SGEを用いたキャリア教育の試み その3追跡調査~」 岩瀬由妃

◆ 個人発表Ⅱ―事例研究発表 (9;30~11;30 )
〇第1分科会〈 特別支援Ⅰ 〉

 1-1 「ADHDの二次障害から所属感が低下し、学級で手のかかるA男のサポート」山田まり子、1-2 「通常学級における支援の方法~短時間で意思の疎通を図る~」二ノ田仙彦、「1-3 自己肯定感を高めるための支援」久田由香

〇第2分科会〈 特別支援Ⅱ〉

 2-1「不登校生徒A子・中学卒業までの学級担任の関わり」大友志津子、2-2「 学級経営実践を通しての、特別支援を要する生徒への適切な支援について」後藤玲子、2-3「高等学校での特別支援を要する生徒への事例」石井智子、

〇第3分科会 〈かかわりの難しい子どもへの支援〉

 3-1 「罰に代わる方法での問題行動への対応について」清水充治、3-2「 キレやすく授業に集中できないA男への対応」逆井千世香、3-3 「暴力をふるう男子児童と保護者に対する解決構築アプローチによる関わり」久能弘道・高橋甲

〇第4分科会(不登校Ⅰ)

 4-1 「不登校から家族システム的アプローチにより再登校できた小学校4年生のA男」佐々木順子、4-2「 不登校男子中学生とその保護者への支援 ―学校・専門機関・スクールカウンセラーとの連携をとおして」― 山下みどり、4-3 聞くことに徹した母親面接 廻孝司

〇第5分科会(不登校Ⅱ)

 5-1 「不登校の様子を見せる体育会大学生に対する組織的支援 」小川千里、5-2 「就学不安傾向が強い学生への履修相談事例」吉川正剛・伊藤博、5-3「 勇気づけを大切にした不登校への対応」藤倉健吉

〇第6分科会(チーム支援)

 「6-1「教師のリソースを生かしたチーム対応」井上恭子、6-2「 規範意識が低い生徒へのチーム支援」幸脇弥生、6-3「 小規模校における特別支援教育の在り方-チーム援助の土台作りと学級担任への援助について-」川口妙子

〇第7分科会(サイコエジュケーション)

 7-1「うつ病で休職した教員への復職支援」小林美穂子、7-2 「DV加害者とコラージュ療法」中島由子、7-3「 師弟同行でエクササイズ体験~ふれあいと自他発見~」武田美知子

◆ラウンドテーブル(13:00~15:00)
 ラウンドテーブルは、各メンバーが、ある特定のテーマについて「自分のしたこと、していること(失敗体験・成功体験)」、「自分の考えている子と(解釈・評価・意味づけ・概念化)」、「自分の感じていること(困っていること、ほっとしていることetc)」をお互いに開示しあう(シェアリング)本学会の特色とする集団学習方式である。

① 特別支援教育 「土生仁子」
② 不登校 「川端久詩」
③ 生徒指導 「真鍋孝徳」
④ 授業 「水上和夫」
⑤ 特別活動 「澤尻知徳」
⑥ SGE 「岡田 弘 」

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⑦ キャリア教育 「吉田隆江」
⑧ 乳幼児・家庭教育 「冨田久江」
⑨ シェアリング方式スーパービジョン 「片野智治
⑩ ヘルスカウンセリング 「吉田ゆかり」 503教室
⑪教師のメンタルヘルス 「大友秀人」 504教室
⑫ 組織づくり 「三島利紀」

◆全体シェアリング・閉会式(15;15~16;30)

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 この行事も本会の特色ある活動の一つです。
 最後まで残られた140名の参加者が、3重円の人垣を作り、全体シェアリングは進められた。
 全国津々浦々から参集した会員からは、「実行委員の皆様への準備・運営やよく働いてくれた学生さん」への謝意、「実践に結びつく多くのことを学んだ」、「明日への実践への勇気をもらった」、「ふれあい活動を通じて多くの友ができた」などの参加してよかったという賛辞などが寄せられた。
 最後に、吉田博子第10回研究大会実行委員長より「来年は是非京都に」の呼びかけがあり、来年を再会を約した会は閉じました。(文責:池場 望)

◎拡大写真

(文中の写真の一部を拡大してみました)

第9回研究発表大会 大友秀人準備委員長挨拶

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日本教育カウンセリング学会 國分康孝理事長挨拶

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鼎談:シェアリング
     左から大友秀人,吉田隆江,諸富詳彦の各先生
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情報交換会;キリンビール園アーバン店を貸しきって
     運営・準備に活躍した北海道支部の方々
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共済ホールを埋め尽くした600人の参加者
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自主シンポジウム
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口頭発表
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ラウンドテーブル
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全体シェアリング   
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